眠れぬ夜は

鈴木いづみセカンド・コレクション〈1〉 短編小説集 ペリカンホテル
きのうもろくに眠れなかった。
とてもこわい夢を見たのです。
あれは夢だったのか、なんなのか。
感覚がね、とてもあったんです。
こわい夢を見てしまうと、眠るのがイヤになって
それから朝まで起きている。
だってまたこわい夢を見たくないでしょ。

そんな夜中、テレビをつけるとNHKでは
必ずやっている番組がある。
昨日はじめてその番組のタイトルを知った。
「MUSIC BOX」
いろんな年代のヒット曲と当時の映像。
昨日のは70年代邦楽。
「わたしの彼は左きき」を聴いて
ちょっとだけうとうとした。

あああ、あんなにロマンチックでメルヘンチックな気分だったのに。
どうしてこわい夢なんて見るんだろう。

枕の下にあの人の写真でも入れてみようかしら。
そんな気休めにも頼りたくなる。

本でも読もうか。
どうせ眠れないなら。

あんなにたくさんあるんだから。